ティムール再生がここまで強くなった理由
ティムール再生がここまで強くなった理由
ティムール再生の大まかな勝ち筋は何か。

それは《荒野の再生》でマナを増幅させ《発展+発破》で大きな
ダメージ与えて勝利する形が主だが、これは何も最近出来るよう
になった動きと言う訳では無く《荒野の再生》が収録された
ラヴニカ回帰から出来ていた動きだ。

それが今になって何故ここまで大きな存在になったのか。

先日行われたPLAYERS TOUR ONLINE1と2(以下PTO)の
トップ8に合わせて10名を送り込んだ強さはどこにあるのか、
色々考えた末に3つ理由があると思う。


1つ目は、オーコや創案と言った強力過ぎたカードの禁止により勝手にライバルが
環境からいなくなっていった事だ。

ティムール再生の成績も禁止に全く該当しない程、影の薄いデッキで無かったが
それよりも強力な動きをするデッキが常に存在していた事、
《時を解す者、テフェリー》と言った強力な妨害カードが環境を支配していた事も
あり、『動きは派手だが安定しないデッキ』と言った評価だった。

その為、何度か訪れる禁止の候補に挙がりはしただろうが、実際の対象にはならず、
逆にライバルであったフードデッキや創案デッキは、デッキのキーパーツを奪われ
環境から退場、相棒も強すぎた為に弱体化した。

結果として何のペナルティーも受けなかったディムール再生は程なくして有利な
環境になったのだと思う。

そう言った意味ではティムール再生やランプデッキに対しても速度を遅らせる、
もしくはティムール再生を弱体化させる何かのパーツを創案禁止と相棒の弱体化に
合わせてするべきだったのかもしれない。

例えばいつ引いても殆ど腐らず、唱えた後もウーロの脱出コストとして利用できる
《成長のらせん》の様な潤滑油的なカードを無くして、ランプの安定度を下げる
意味はあったかもしれない。


2つ目は、1度は灯争大戦で足踏みを食らったもののローテ以降、
エキスパンションが出る毎に有効なパーツを得続け、急にトップメタに入る事は
無くとも着実にステップアップしてきた事だろう。

例えばイコリアでは《サメ台風》と《ケトリアのトライオーム》と言う現状4枚
採用されるパーツを得ているし、テーロスでは何よりも
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を獲得している。

エルドレインでも、各色の出来事カードや《ヴァントレス城》と言ったカードが
《荒野の再生》で土地が起きる価値をより高めるてくれ、トップ勝負の膠着状態では
大体ティムール再生側が有利になる。

と、こうした強化により主な勝ち筋である《発展+発破》で大ダメージを与えて勝つ、
だけでは無くウーロやサメで殴り勝つプランや、サイドからの《夜群れの伏兵》で
相手のサイドプランを崩しつつ構えながら勝つと言ったフラッシュ系のプランも
採用出来たりと、多彩な勝ち筋を選べる骨太なデッキになったように思う。

その結果、前環境までは苦手としていたバントランプとも互角に戦える戦力が整い
トップメタまで登って来たのだろう。


3つ目は、アグロが弱い事だ。
単に軽量クリーチャーの質が悪いだけでは無く占術土地を使わなければならない
マナ基盤にしても概ね弱く、ウーロや食物トークン、エンチャント等の効果で
ライフをついでに回復出来てしまう点もアグロデッキには厳しく結果として
序盤からクリーチャーで相手のライフを攻める様なアグロデッキは微妙と
言わざるを得ないのが現状だ。

自分自身グルールアグロを使っているので分かるが、これは間違いない事だと
思うしPLAYERS TOUR ONLINE1と2のトップ8にアグロデッキが1つもいない事も
それを証明している。

赤単アグロがある…とも思えるが、あれにしても宝剣やトーブラン、オボシュ
といったダメージを大きく増加させる手段が無いと殆どのクリーチャーは3/3で
止まる貧弱さで、最悪0/2のガチョウでも止まってしまう事もある。

自分が使っているグルールアグロにしても最近流行りの緑単アグロにしても、
序盤のマナ基盤の安定と、クリーチャーの質を上げないと動きが分かっている
相手に対しては厳しいだろう。

これに関しては明らかに今のスタンをデザインする段階から意図的に弱くしている
のだと思うが、それがどういった理由でそうなったのかは分からない。

ショックランドの影響を考慮してなのか…
MTGアリーナでの印象を良くしたかったのか…

1つの可能性として相棒カードはアグロ強化を意識していたのかもしれないが、
これも相棒カード全ての弱体化により分からなくなった。

いずれにしてもアグロが弱い事で序盤を凌げる算段が立てられれば
ティムール再生やそれに近いランプデッキ、コントロールデッキにとっては非常に
助かる事は間違いなく安定した勝利もたらすの要因の1つとなっているのは
間違いないだろう。


さて、こうして3つの理由を述べたが現状ではスタンのローテーションと共に
メインパーツである《荒野の再生》と《発展+発破》が落ちる為、次のM21の環境が
スタン環境の最後の舞台となる。

段々と強化されて今に至る状況や、環境の末期に差し掛かった今トップメタへと
昇って来た事を考えるに、今の強さは予定されたものなのかもしれないが、
現状の結果を見るに偏った強さを手に入れてしまったようにも思う。

もしかしたらまた禁止か?

などと頭をよぎったりもするが、M21のプレビューを見れば《ルーンの光輪》や
《九つの命》と言った置物で《発展+発破》での大ダメージを封じたり《漁る軟泥》
の再録でウーロやクロクサもそこまで安定して出せる環境にはならないはず。

なので、少なくとも今と同じようなデッキ構成にはならないとは思う。

ただ《荒野の再生》自体は変わらず強力なエンチャントである事に変わりは
無く、結局《荒野の再生》は形を変えてやらかし続ける可能性は
ありそうな気もするが…。

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